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楽観的に考える効果

(このブログは、文藝春秋社刊「脳科学は人格を変えられるか」を参考に、私の思うところを書いています。スタートは、昨年の12月12日です。)

 昨日は、「楽観的な修道女が長生きしていた」という実験について書いた。その背景を見ていこう。まず、楽観的な状況に置かれた被験者の方が、アイディアをたくさん出すことができたという実験だ。

 被験者にお菓子の入った袋をプレゼントしたり、愉快なビデオを見せたりして、ポジティブな気分を一時的に盛り上げる。その上で、「30分ほど自由な時間があったら、どんなことがしたいか?」の答えを書き出させた。すると、その集団の被験者は、恐怖映画を見せられた別の被験者よりもずっと多くのアイディアを出したというのだ。

 難しい会議室で眉をしかめていてもいいアイディアが出なかっのに、リラックスして楽しい会話をしたら、面白いアイディアがたくさん出て、道筋が開けたようなことは私も経験している。附属学校の管理職をしている時、宴会の開会の挨拶で、「冗談の中に本音がある。雑談の中に真実がある。」と言ったことがある。難しい授業研究会で、発表者の不十分さを探し重箱の隅をほじくるような議論が嫌いなのだ。もっと“楽しい子どもの顔”や、“輝いている自分たちの姿”を思い浮かべて、教師の目指すべきことを見失わないようにしてほしかったのだ。

 ポジティブな気分に立つことで、さまざまなことに意欲を持って取り組み、その積み重ねの結果としていろいろな「資産」をつくる働きもある。たとえば、良き友人や趣味、気持ちよく活動できる環境などだ。その資産がまた困難に出会ったとき、打開のための重要な働きを果たしてくれるのだろう。

 昨日の修道女たちも、明るい気持ちの傾向を持った人たちは、アイディアを拡張し、仲間などの資産を増やし、困難なことがあっても立ち直りが早く、もしかしたらその困難に立ち向かった経験が人生を豊かにする心の姿勢(アフェクティブ・マインドセット)を育んでいったのだろう。それが結果として体の健康度を守る働きにつながっていったものと思う。