壮年期(中年期)は、40代後半から60代前半あたりを指すと考えられる。人生の正午とも言える45歳付近を境に、人生の坂を降り始めるというのは悲しいので、人生100年時代を思うと、新しい青年期を迎えるぐらいの気持ちでいた方が面白いように思う。
この時期の特徴を簡単に言うなら、自分より若い世代の成長発達を援助するところにあるだろう。家庭では、子どもたちの自立に向けて支援し、会社等では、後輩・部下の指導育成等が肩にかかってくる。それは自分にとっても大きな喜びをもたらすものであるが、難しい問題も多く、重い責任やストレスを抱えることがとても多い。
自分の仕事・目標に対して、しっかりした迫り方を持っており、自信を持って人をまとめていけるような人は、人生の絶頂期と言って良いかもしれないが、向き合う相手はそれぞれ異なる人間性を持っており、ちょっとした感覚のずれから相手とうまくいかず大きな負荷がかかった時は、働くことそのものや自分の生き方そのものへの挫折感を感じることもある。大きな分かれ道に向き合うが、自身を見失わずに選択し歩み続けることが大事な時期だろう。
上で冗談のように書いたが、再び青年期のような新鮮な気持ちを大切にし、自分の可能性を広げる気分で生き方を探ってほしい。仲間と共に登り続けてきた人生だったのが、壮年期は自分より若い世代とうまく関わり、育んでいくことになる。向き合う他者(若者)を鏡として、自分自身を写してみることになる。それは青年期の心理で扱ったアイデンティティーの確立の過程だ。その状況によっては、20年近く守ってきた自分のあり方を転換しなくてはならないこともある。
しばらく前にNHKの「逆転人生」と言う番組で、一流のシェフが店を開き、当初は大変評判だったのが、そのこだわりのせいでスタッフにとても厳しい声をかけ、次第にやめていく者が増え、そのギスギスした店の雰囲気からお客が離れていき、大きな挫折感を味わう。なんと彼は、人気のファミレス店でバイトとして働き、人の下で雇われて働く経験をしにいく。その体験を通して、自分のやってきたことのいけなかったことに気づき、自分の店でスタッフにどのように経営を変えていったら良いか問いかけ、大きな成功へと転換していくという内容だった。詳しく知りたい人は「逆転人生 一つ星店シェフの覚醒」を見てほしい。(続く)